SS(ガソリンスタンド)のセールスルーム内において、デジタルサイネージによる情報伝達の有効性を検証するための実験(トライアル)が行われた時の話をします。
SSのセールスルームは、給油や洗車、車の整備などをしている間、お客さんが車から降りて待っているスペースになります。その待ち時間は、お客さんに様々なセールス情報を提供できるチャンスでもあります。SSにおいては、油以外の商品(タイヤや車検など)を売っていくことが、大きな課題になっています。
※SSのセールスルーム内でのコミュニケーション効果を期待される。
セールスルーム内の情報提供の現状としては、SS自体が工夫をしているツール類(ポスター・POPなど)や、メーカーの販促品などが展開されており、紙媒体やディスプレイなどを中心に訴求をしています。セールスルーム内には、雑誌や新聞なども置いてあるので、お客さんは、気ままに時間を過ごしますが、上記のツール類による訴求効果は、今一つという形になっていました。また、スタッフの方が、セールス的なコミュニケーションに時間を割くということも難しい状況です。
その課題を受けて、デジタルサイネージを使ったプロモーション展開を期間限定(3ヶ月間)でトライアルし、実験をしました。人的労力を掛けずに、能動的な情報発信をしていくことが、大きな目的になります。
展開方法としては、レジスター背面にセッティングできる様に、ディスプレイを企画・設計・製作をして、その中(お客さん側に向けて)に、デジタルサイネージ(小型のタブレット)を組み込みます。トライアルの期間限定での実験のため、このディスプレイは、一台をハンドメイドにて製作。セールスルーム内での、お客さんの視認性を第一に考えて、企画・設計しました。
ディスプレイの筐体に関しては、実験期間となる3ヶ月間耐久できることと、ガラス窓の近くに設置するので、日差しによる劣化のことなどを考慮しました。基本素材には、スチレンボード〈Lタックパネル(片面粘着)7mm〉を使用して、筐体の構造を、少しだけ多面的にすることで強度を確保しました。その構造により、セールスルーム内で、タブレットも角度をつけてセッティングすることができます。
装飾的には、コート135kgの用紙に、オンデマンドでカラー印刷をして、PP貼加工を施します。強度と耐久性と耐湿性も高まります。
印刷した用紙を綺麗に貼るために、できるだけ一枚取りで貼りました(一部別途扱い)。PP貼加工を施したので、折り筋がつきにくく、綺麗に角が取れないので、カッターの刃の逆側でしっかりと筋をつけてから折り込みました。
最も苦労したのは、スチレンボードの接着面に用紙を貼る時です。上手くいかずに貼り替えようとすると用紙が汚くなってしまうし、ゴミとかが入ると凸凹してしまうので、細心の注意を払いながら、3人掛かりで一気に取り組みました。集中力の必要な作業です。
※レジスターとタブレットの間に、熱がこもらないように空間を確保。
デジタルサイネージでは、各種コンテンツで構成された映像と音声を、繰り返しエンドレスで流します。戦略的にコンテンツを組み替えて、CMSにて管理・配信をしていきます。SS情報や、各種プロモーション情報、メーカー協賛情報、ニュースなどで構成し、どのようにコマ割りしたら効果的かを色々と検証していきます。タブレットの画面サイズが小さいため、映像は認識されにくい可能性があるので、音声により、どのようにアテンションしていくのかもポイントになります。
セールスルーム内には、連動ツールとして、ポスターとスイングPOPを設置することで、更にアテンション効果を高めます。テーブルの上には、アンケート用紙を置いておきます。アンケートのインセンティブとして、総付景品と抽選方式によるWチャンスのキャンペーンを展開し、アンケートの回収率を高めていきます。アンケートの内容としては、今回のデジタルサイネージの実験に関する基本的な質問(簡単な質問を5問程度)をお願いしていきました。
以上が、実験の概要となります。
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実験の詳しい結果・考察に関しては、クライアント情報になりますので開示できませんが、デジタルサイネージの情報伝達の有効性と、その課題を捉まえることのできる事例になっています。人的労力を掛けずに、相応のコミュニケーションが図れるセールスプロモーション・ツールとしての可能性を感じます。