9月9日の日経産業新聞一面のトップ記事の見出しを読んで、胸にグッとくるものを感じました。ものづくり現場発/特別編 東北被災地を歩く-1 うなる機械 再起の証し「技術は流されてない」
ものづくりの工場の機械音は、その現場の心臓の音そのもの。東日本大震災のあと、その音が途絶えていました。
その現場で働いていた人たちの寂寥感。いまだ瓦礫で埋め尽くされた宮城県沿岸部では、操業を再開した工場の機械音が、それを打ち破るように高らかに鳴り響いているという。
しかし、一方では、原子力発電所事故の収束が読み切れない福島県では、撤退を決める工場も出始めているという。その厳しい現実と向き合いながら、それぞれの一歩を踏み出し始めている。
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そんな中で心を打たれたのが、高橋工業(気仙沼市)の社長の高橋和志氏の言葉。
最初は、「現実が理解できなかった」しかし、残った社員らと瓦礫を片付けるうちに「やる気と技術は流されていない」と思えるようになった。
工場が全壊してしまったうえに、建築制限という行政の壁とも面と向き合いながら、仮設作業場での10月稼働再開を予定されているそうです。
その言葉の強さに圧倒されながらも、これこそがものづくりの現場を動かす心臓なんだなと感じました。その心臓の音が、各所で高らかに鳴り響くことを信じています。
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もう一つ、高橋工業のホームページを見ていて、とても新鮮なフレーズがありました。
「船大工は家も建てますが、家大工は船を造れません。」
なるほど確かにその通りです。そして、その技術力に対する確固たる自信と誇りを感じます。
こうも言っています。
「建築分野での技術上の問題点は、造船技術にとっての隙間産業となり得ます。」
その造船で培った技術力を応用し、異業種の建築に融合することにより、独創性に満ちた作品を創出し、新しい市場を展開しているようです。
私も商業建築の仕事をしたり、その他色々な造作物を制作したりしますが、その既存の技術を主体に考えることが多かったかもしれません。その新鮮な言葉と、ものづくりのチカラには、とても刺激を受けました。
鋼とアクリルの嵌め合い方式という技術などを駆使した銀座にあるLANVIN BOUTIQUE GINZAなど、色々な賞などを受けて、注目されているお店なども多いようです。
ちょっと勉強不足だった点も否めないので、それらのお店を今度見学してみたいと思います。
(日経産業新聞 2011年9月9日 一面記事/参照・引用)
(株式会社高橋工業 ホームページ/参照・引用)
参照記事
◇ 株式会社高橋工業 ホームページ