LED照明の商機拡大-企業の省エネへの取り組み状況と意識

静岡県は、9月に新エネルギー関連企業が参加する展示商談会を静岡市内で主催。LED照明などを取り扱う企業の節電商品をPRし、今後も、販路の拡大などを後押ししていくそうです。


『ふじのくに新エネ・節電フェア』と題し、県内中小企業者等の優れた新エネルギーや節電に関する商品・サービスの販路開拓を支援する展示会。新エネルギーの導入促進と節電意識の向上を図るセミナーなども開催されました。

 

ふじのくに新エネ節電フェア出展分野 〉次世代照明器具(LED照明など)及び、関連部品等自然エネルギー機器(太陽光発電・風力発電・バイオマスエネルギーなど)及び、関連部品等省エネ・節電技術及び、省エネ管理システム等(断熱・屋上緑化・水再利用・省力化機械・監視モニターなど)

開催日 〉平成23年 9月16日(金)午前10時~午後5時 , 9月17日(土)午前10時~午後4時30分

会場 〉ツインメッセ静岡西館2階小展示場(静岡市駿河区曲金3-1-10)

 

 

週末、見学に行ってきました。県内の中小企業の新エネルギーと節電に対する取り組みを色々と知ることが出来ました。

新エネルギーと節電は、ボルトとナットのようなもので、二つが組み合わさって初めてその効用が発揮されます。

新エネルギーに関しては、その間口は広く、それぞれの可能性を追求しながら、段階的且つ加速度的にエネルギーの構造改革が進んでいくことを期待します。その推進力として、中小企業のものづくりのチカラは必要不可欠なものです。節電に関しては、企業や家庭でそれぞれが出来ることからとりあえず始めていく。そして、そのノウハウや情報を共有化しながら、生活スタイルそのものを、新しい方向へとシフトしていく。

今回の展示会を見学しながら、上記のようなことを改めて認識しました。そして、総括的には、『エネルギーは、与えてもらうものという価値観から脱却して、自給自足的概念を持つことが重要である。』ということを強く感じました。

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電力消費量の少ないLED照明(発光ダイオード)の導入が、静岡県内の小売店や事業所などで、加速度的に進んでいるようです。

セブン-イレブンは、静岡県内に約500店舗展開されていますが、その約半数の店舗で、既に全照明がLED照明になっています。節電効果に加えて、寿命が長く、交換の手間が省けるため、今後残りの店舗でも導入を進める方針。

マックスバリュ東海では、新規店舗や改装の際に、LED照明を採用。総菜コーナーの照明や屋外看板、トイレなどでの活用が進んでいます。

遠鉄ストアでは、昨年10月に新規開店した浜松市の三ヶ日店で実験的にLEDの屋外照明などを導入。節電効果や採算性を見ながら、他店でもLED照明の比率を高めていくとのことです。

東日本大震災の後の節電意識の高まりと、LED照明の低価格化が相まって、後押しをしているようです。

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また、LED照明を取り扱う中小企業は、大きな商機として期待を掛けています。

総合看板業の株式会社サインクリエイト(浜松市南区)が開発したLEDと太陽光パネルを一体化した防犯灯『環境太陽灯エココロジー』は、避難経路の案内や停電時の非常灯として注目されており、震災後に県内自治体などから問い合わせが相次いでいる。軽量で移動も可能で、「BCP(事業継続計画)対策として企業の関心も高い。」と伊藤千明社長は手応えを感じている。

『環境太陽灯エココロジー』は、太陽エネルギーを利用することにより、CO2排出量がゼロの環境にとても優しいソーラーLED照明灯です。防犯灯や屋外照明灯として、どこにでも設置することが出来るうえ、コンパクトで、重量が約10キロなので持ち運びが可能であることから、災害による停電時に避難所や救護所内の非常用照明としても活用出来るそうです。

その開発動機を見てみると、ボランティア指導員として小学校に勤める社長の奥様の一言がきっかけだと言います。「暗くなるのが早い季節に、子供たちが学校に残っている時、地震で停電になってしまったら困る…。」子供たちのため、地域のため、防災対策…、そういった日頃からの高い問題意識がベースになっています。

そして、社会貢献という観点からも強いコスト意識を持って、開発に臨んだようです。本業の看板制作で培った金属加工技術を活かし、中間業者を介さず、余分な装飾などをしないシンプルな設計を追求。また、消火栓の案内標識をヒントに、本体に広告を掲載し、その広告料を照明代と維持管理費にあて、学校や公共施設に無償設置するビジネスモデルを導入して、実績を積んでいます。

その想いと取り組みが、今回の東日本大震災と、LEDの市場価格の低下などの要因を受けて、各所から注目されているのだと思います。

学ぶべき点は、その開発動機を具現化するためのアプローチの在り方にあります。社会貢献を前提に、利益よりも普及を優先したと言います。その考え方に基づき、ずば抜けた低価格を実現。大手メーカーの1基あたりの金額100~200万円と比較すると、その差は歴然です。

そして、それに対して製品仕様に関しても、軽量・コンパクト化を追求していきます。それによって、設置費用や維持管理費も低減化出来ます。本業としての強みである金属加工の技術を活かしつつ、大手メーカーの製品に対するベンチマーキングを徹底して、既定の流通構造のロス要因を排除することで、新製品の低価格化を形にしていきました。

また、市場へのアクセスに関しては、本体に広告掲載枠を取り付けて、その製品への想いを共有化出来る地域の企業に活用してもらうことで、その広告料を照明代と維持管理費に充て、地域の学校や公共施設に無償設置するというビジネスモデルを導入しました。

地域社会の中で、その製品のコンセプトを とても上手にフィットさせていると思います。その結果、イニシャルコストもランニングコストも現実的なものとなっていきます。市場のニーズがさらに高まり、その普及が加速度的に進むことで、安心・安全なまちづくりに対する動きが全国的に活発化することを期待したいです。

 

イベント用照明器具を手掛ける電気工事業のタニモト電機(静岡市清水区)は、展示会ブース向けのスポットライトが好評。「イベント主催者の出展者への節電要請が相次いでいる。」(谷本正光社長)ことからレンタル用の引き合いが全国からあるとのことです。

 

パソコン、バイク用品を取り扱うZOAは、3年前から特設コーナーを設けたり、商品を安値で提供するなどして、LED照明の販売を強化。昨年8月には、沼津市の本部や本店の照明を全てLED照明に切り替えました。導入前との比較で、電気代は6割減。自社の店舗で節電効果を立証しつつ、個人客だけでなく、事業所への利用を促します。5~7月の販売は、前年同期比で50%増。昨年末から関連商品の低価格化が進み、「電球タイプは昨年の今頃と比較して半額以下。」と言います。

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こういった中小企業の省エネへの取り組みの状況について、少し考察をしてみます。

中小企業の省エネへの取り組みに関しては、「運用による省エネ」と「投資による省エネ」の2つに分けて捉えることが出来ます。

『中小企業白書 2010年版』を見てみると、
「運用による省エネ」に関しては、「空室時の消灯の徹底」(93.1%)「温湿度設定の適正管理」(68.5%)「機器の待機電力削減」(49.8%)などの項目が挙げられます。

省エネ意識を持つことで、容易に取り組める項目に関しては、東日本大震災の前から能動的な取り組みが進んでいました。しかし、「管理目標を設定しての管理」(14.0%)「エネルギー需要管理の実施」(12.3%)「ISO14001の認証取得及び管理」(8.0%)などの知識や技術・企業としての体制づくりを必要とするマネジメント的な項目は、あまり進んでいませんでした。

東日本大震災の後、このマネジメント的な取り組みが、どこまで浸透し、戦略的な取り組みとして進んでいるのか?その点が、大きなポイントになります。

一方の「投資による省エネ」に関しても、『中小企業白書 2010年版』を見てみます。「高効率な照明機器の導入(LED等)」(9.7%)「照明制御装置の導入(人感センサー等)」(7.5%)「空調機器制御装置の導入(インバーター等)」(7.4%)などの取り組み項目が挙げられていますが、いずれも全体の10%以下で、ほとんど取り組みが進んでいません。

もちろん、資金面の負担(50%)が大きな理由ではありますが、「費用削減につながらないから」(16%)というネガティブな理由が続いて多かったです。このあたりのコストパフォーマンスを実感できる情報や各種支援制度などの周知徹底による認知度アップと活用の促進を図る必要があります。

そんな中でも、今後取り組む意向のある投資による省エネ項目として、「高効率な照明機器の導入(LED等)」は、65%という高い数値を示しています。

この意識と、東日本大震災の影響、そして、LEDの製品価格の低下の3つの要素に、各種支援制度の下支えが合わさることで、中小企業において、上記事例の様な動きが活発化してくる可能性は高いと思われます。

 

(株式会社サインクリエイト ホームページ/参照・引用)
(静岡県 ホームページ/参照・引用)
(静岡新聞 2011.8.22 夕刊記事/参照・引用)
(『中小企業白書 2010年版』/参照・引用)

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