二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」は、冬ごもりで土の中にいた虫たちが、春の陽気に誘われて動きだす頃。木々は芽吹いて花開き、虫たちが顔を出し、蝶が舞う。春らしく、美しく、賑やかに。
梅の花が咲き、次に桃の花が咲いて、桜の花が咲く。冬から春を迎える季節の移ろいの中、三様の花の舞いを楽しむことができます。桃は、春らしい薄ピンク色の可憐な花を開き、夏には、豊かな甘みの果実を結びます。
「啓蟄」における七十二候は 次の三候
初候「蟄虫戸を啓く(すごもりのむしとをひらく)」第七候
冬ごもりをしていた虫たちが姿を現す、新暦3月5~9日頃
冬の寒さにブルブルと縮こまっていた虫たちが、春の暖かさを受けて、ノビノビと解き放たれて、ゴソゴソと動き出す。そんな虫たちの姿を想像すると、とても微笑ましくも感じます。
次候「桃始めて笑う(ももはじめてわらう)」第八候
桃の蕾がほころび花が咲き始める、新暦3月10~14日頃
「ももはじめてさく」とも読みます。「笑う」と書いて「さく」。竹冠の「笑」という字には元々「咲く」という意味があり、口偏の「咲」という字には「笑う」という意味があったと言われています。
末候「菜虫蝶と化す(なむしちょうとかす)」第九候
冬を過ごしたさなぎが羽化し蝶に生まれ変わる、新暦3月15~19日頃
生まれたての蝶が舞い始め、春の景色も本番を迎えようとしています。木々の合間から聞こえてくる鳥たちのさえずりに耳を傾けながら、晴れわたる空を見上げて、心地よい深呼吸をひとつふたつ。
仲春
旧暦二月(新暦三月)
如月(きさらぎ)
まだ寒さが残っていて、衣を重ね着する(更に着る)月の意。
「衣更着」とも表します。
木芽月(このめづき)と呼ばれることも。
春霞の公園。横手の川を見渡すように伸びる一本の椿。ぷっくりとまんまるに赤味を帯びた蕾には、春を待ち侘びて今にも咲き誇らんとしているかのような嬉しさが満ち満ちています。