20年前に企画・設計・製作したサンリオのジャンボガラポン

先日、イトーヨーカドーの中にある雑貨屋さんで、ガラポンくじをやってました。このガラポン…、実は、サンリオの仕事で、20年前に企画・設計・製作したガラポンです。時を経て、久しぶりに ご対面しました。

今なお健在!20年前に企画・設計・製作した製品が、現役で活躍していました。愛着を持って作りだした製品が、こうして、長い間 現場で活躍しているのを見るのは、本当に嬉しいことです。

サンリオのガラポン

※どんだけのこども達が、店頭でガラガラ回して楽しんでくれたのかな?

さすがに、本体の印刷面は色も褪せて、傷だらけになっており、20年という時を感じさせますが、筐体としては、しっかりとしています。
究極のアナログゲームですが、まだまだ こども達には、人気があるようです。

その当時、もちろん卓上のガラポンはありましたが、ジャンボサイズのガラポンは少なく、仕掛けのギミックを組み上げるのに苦労した記憶があります。

ミニサイズの仕掛けを、ただアップスケールすれば良いというものでもなく、“本体を1周回して、70φで軽量のプラスチックボールを、確実に1個出口から出す。”という、単純だけどハードルの高い仕掛けを、検証を重ねながら具現化しました。チームを組んでいた技術者のN氏と木工屋さんとで、一緒に形にしていきました。

その当時、サンリオのショップ(ギフトゲート)も活気があって、確か、全国に3,000店舗近くあったような気がします。その店舗で、サンリオの催事カレンダーに基づいて、定期的に開催される催事用の店頭イベントゲーム機を色々と企画・設計・製作しました。ゲーム機の種類にしたら、20種類以上は考案し、このガラポンも、累計で500台近く製作したかもしれません。今、こうやって現役で頑張っているゲームが、何台あるかは分かりません。

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これらのゲーム機の製作現場での思い出話と、
技術者のN氏のお話を少し…。

ゲーム機は、私がアイデアを考えて、技術者のN氏に相談して、まずはクライアントに提案。実験を繰り返しながら形にしていきます。体感型のゲームなので、ダイナミックなものが求められます。回したり、叩いたり、投げたり… 、アクションをすることで こどもたちに楽しんでもらう。それがコンセプトです。

量産化もするので、コストパフォーマンスも重要。限られた予算の中で、パッケージ化しなければなりません。アイデア出しも大変だったけど、それを形にしてくれるN氏の知識と技術があってのものでした。

また、実験とシミュレーションがかなり大変なんです。確率型のゲームなんか考えてしまった時には、さぁ大変。統計を取らなければならないので、ひたすらゲームをすることになる。事情を知らない人から見れば、遊んでるとしか思えない。会社では、いい意味悪い意味目立っていました。人手も借りて、必要サンプル数を取ったもんです。

N氏とゲーム機1N氏とゲーム機2

※電気系は、N氏の得意とするところ。色んなアイデアを形にしてくれました。

電気系を使ったゲームは、N氏の得意とするところですが、真冬のすんごく寒い夜に、茨城にある工場の広いコンクリート敷きのスペースで、石油ストーブ一台でブルブル震えながら実験をやったのを思い出します。その時食べた吉野家の牛丼の大盛り!うまかったなぁ。テイクアウトで、工場まで持ってきた時には、冷たくなってたけど…。ほんとに、うまかった(T_T)その後、実験をしながらN氏が感電しちゃうんですよね。感電すると、ほんとに漫画みたいな感じになる。

でも、N氏は仕事柄、感電なんて慣れっこ。こっちは、びっくりして心配しても、何事もなかったかのよう。私も経験するうちに色々と鍛えられました。とにかく思い出話がたくさんあります。最近は、そんなゲーム機を作る仕事はあまりやってませんが、アイデアはストックしているので、機会があれば、またN氏とやってみたいです。

私にとって、N氏の存在は とても大きなものでした。ものづくりに関して、その経験と知識の間口の広さと奥深さに いつも助けられます。私が、N氏から学んだことは数多いです。N氏が保有している ものづくりのチカラという暗黙知を引き出して、形式知へと転換したい。私には、そんな命題がありました。

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ものづくりの醍醐味は、自分の作ったものが、世の中や人々に長く使ってもらい、役に立つことです。一緒に作ったN氏と、その他の仲間たちにも写真を見せて懐かしがりましたが、20年経って今もなお健在で活躍しているということに、皆で感激するとともに、

「ちょっとオーバースペックだったかな?」
「20年も保ったら、商売にならんな!」

…などという笑い話も飛び交いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。